第5章 不確定性原理

物理学

 量子論では厳密なパラメーター設定が出来ません。その理由として、パラメーターが微細に変動するからです。その変動をゆらぎと言います。

ゆらぎ

 古典力学と量子力学における、決定的な違いは位置が完全に決定出来るかどうかである。

 量子力学では、物質が波としての性質を持つため、粒子を波束と言う波で表現したのだった。そこで粒子を波と解釈する上で、ある問題が発生する。

 簡単な思考実験の例として、針の上にピンポン玉が静止している場合、古典力学的にはピンポン玉位置が完全に決定され、その中心座標を求めることは容易だろう。

 しかしながら、ピンポン玉が自ら振動した場合、針先から落ちるのは道理である。つまり、ミクロの世界では粒子そのものが振動するため、その位置を完全に予言する事が難しい。

 そこで登場する物理的概念が揺らぎである。例えば、古典力学では位置をxと置けば事足りたが、量子論ではゆらぎ幅Δxを定義して、x+Δxの位置に粒子が観測されると考える。つまり、ミクロ世界ではΔxの範囲で観測位置がずれることがある。この現象をゆらぎと言う。

不確定性原理

 導出等の細かい話は置いておくとして、電子の波束について、波束位置の広がり∆xと運動量の値の広がり∆pの間には、

$$∆x\cdot∆p≥\frac{ħ}{2}\qquad(1)$$

の関係が成立する。

 そこで、不確定性の意味について少し考察する。

 例えば、(1)式に位置Δx=0を代入した場合を考える。つまり、量子効果による値のずれが無い場合を意味し、xの値が完全に確定することとなる。その結果、運動量のずれの値がΔp=∞となり、エネルギー保存則が不成立となる。よって、少なくてもパラメーターのずれは0より大きい必要があるので、厳密に値を決定する事が出来ない。

 この様に、位置と運動量を正確に求める事ができない状態を不確定性原理と言う。

まとめ

 波束と言う概念を導入したので、ゆらぎと言うその存在の幅の様な概念と、その幅に置ける強力な制限である不確定性原理について話しました。

第4章 演算子と交換関係 第6章 変数分離法 物理学入門

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