理論物理のお勧め参考書

勉強

 基本的に、私は大学や大学院の講義ノート、授業スライドを中心に勉強してきました。そして、理解を深めるために使用した幾つかの一般書籍についてメモを残しておこうと思います。

古典力学

 まず、大学受験からお世話になった参考書、物理のエッセンス 力学・波動編です。シンプルな単問が多く載っているので、教科書と組み合わせて勉強することで、物理の理解度が大きく向上します。これを終わらせた後に旧帝レベルの入試問題の解答を見ると殆ど理解できると思います。エッセンスの後に重要問題集を……、受験の話は別の機会に。とりあえず、高校の教科書とエッセンスを勉強したところ、高校で習う古典力学は十分なレベルになりました。

 他にも、大学の力学は微分方程式を使うと言う特徴があります。高校入試では、結果論の公式を用いて、とりあえず計算できるようにしましょうと言うあまり面白くない内容でした。大学では数学を存分に使用して物理を考えます。そこで、微分方程式を用いた大学の力学ですが、私は大学の講義くらいしか勉強しませんでした。

解析力学

 とりあえず、薄いので勉強しやすそうだと思い購入した一冊です。しかしながら、この裳華房の解析力学の教科書は内容がしっかり詰まっており、院試の力学の過去問を解いていた時にこの問題どこかで解いたな?と進〇ゼミの様な感じで、院試の過去問と似た例題が載ったりしていました。私としては勉強しやすかったのでお勧めです。

こちらはマセマの解析力学の教科書です。説明が丁寧過ぎて文字が多く、個人的には好みではありませんでしたが、良く理解できない理論と遭遇した時に、これを見ると解決したりしました。補助的な立ち位置の参考書として使用していました。

電磁気学

 電磁気については、ほぼ講義で理解していました。一応役に立った参考書を載せておきます。

 高校レベルの電磁気については、力学と同じ様に、教科書をしっかりと勉強しつつ、物理のエッセンスで単問を解いて理解を深めました。やはり、非常に役に立つ良い参考書だったと思います。

 授業知識の確認にはマセマの電磁気学を使用していました。内容としては、マクスゥエル方程式の導出と波動方程式の基本をメインに書かれた参考書です。電磁気については、このシリーズで一番好みだったと思います。電磁気学としては内容が薄く、演習も不十分なので、本格的に電磁気を学びたいと言う方は、砂川さんやジャクソン等を勧めます。私個人としては、電磁気の基礎知識はこのくらいでいいかなと言う感じでした。

統計力学

 熱統計については、ほぼ授業で覚えました。ここでは主に量子統計の参考書について紹介したいと思います。

 学部時代の教授に勧められて購入した裳華房の統計力学の教科書です。とにかく、薄いですが内容が濃い。統計力学では一番お世話になりました。ただ、薄いので背景的な知識は授業ノートなどで補強していました。私は薄さを生かして、3周くらい勉強した後に田崎さんの統計を一読したところ、かなりスムーズに頭に入ってきたので、知識の骨格部分として役に立つ参考書でした。

田崎さんの統計力学は多くの方が使用した参考書かと思います。二分冊でかなりボリュームがありますが、筆者の熱意が伝わってくる良書です。私は解説を読み込み、未習のトピックの勉強のため使用しました。

量子力学

 こちらは、私が最も勉強した量子力学の参考書で、通称猪木河合量子力学です。メインは二分冊ですが、それの基礎部分がまとめられた基礎量子力学になります。オーソドックスな量子力学の解説がコンパクトにまとめられており、演習問題も多いので、院試対策にも使える良書です。是非量子力学の学びの一冊目に推薦したい教科書です。

 上記の基礎編の詳しいバージョンです。二冊目ではディラック方程式や経路積分など、相対論的量子力学の分野まで学習できます。

 名著と名高い量子力学の教科書のJJサクライです。個人的な意見ですが、非常に難解で初学者にはお勧めできません。一通り量子力学の学習を終えてから読んでみると得るものがあるかもしれません。

相対性理論

 講談社の基礎物理学シリーズの相対性理論の教科書です。ちなみに、講談社シリーズは一応他の分野の教科書もストックがあります。相対性理論については、特殊相対性理論は簡単なので、説明は十分かと思いますが、一般部分は説明不足感があります。私は大学の講義で知識を埋めましたが、独学したい方がいれば何かしらで知識を補強する必要があると思います。

 こちらは何れ買ってみようかと悩んでいる本です。立ち読みした感じ、かなり丁寧に書かれているので、入門に最適ではないかと思います。まだ未読なので詳しいことは言えませんが、上記の本よりもこちらの方が独学向きだと思います。

 「重力」、昔本屋で分冊されていないバージョンを見たことがありましたが、その辞書のごとき分厚さと、圧倒的ラスボス感に圧倒された覚えがあります。しかしながら、中身は非常に詳しいので、一般相対性理論まで丁寧に学ぶことが可能です。

場の量子論

 裳華房の場の量子論の教科書です。ページ数は少なめでトピックがコンパクトにまとまっていて個人的に一番役に立った参考書です。大学院で素粒子の理論を学ぶ上で、個人的におすすめの最初の一冊です。相対論的量子力学を学んだ後に読むことが可能となるでしょう。

 場の理論で最も有名な参考書の通称ぺスキンです。情報量が非常に豊富ですが、上手くまとめられていない感じがしました。私のyoutubeの講義にはぺスキンのトピックを自分なりの理解しやすい状態に再構成し、計算過程を補完したノートを作成してから映像化しています。

 こちらはゲージ場について最も良く書かれていると思われる、通称九後ゲージです。私は一通り通読しただけですが、ゲージ理論に対する理解が深まりました。ボリュームがありますが、非常におすすめな教科書です。

 こちらはワインバーグシリーズの非可換ゲージ理論の教科書です。ワインバーグさんが書かれた超大作シリーズの内の一冊です。大学の図書館で読んでみましたが、個人的には書式が苦手で合いませんでした。ただし内容が濃いので、モチベーションがある方は読んでみると良いと思います。

素粒子の標準模型

 比較的簡単に書かれた標準模型の教科書で、素粒子標準模型入門です。標準模型を学ぶ最初の一冊に良いと思います。まずは場の量子論をしっかり勉強した上で、取り組むと良いと思います。詰まるところ、制限された場の量子論なので復習もかねてすぐに読み終えることが可能だと思います。

 こちらはグリフィスさんの教科書で、標準模型について主に理論重視で学ぶことができます。海外でスタンダードな標準模型の教科書なので、一読してみると良いと思います。

超弦理論

 超弦理論を学ぶ上で最も有名な教科書と思われる、通称ポルチンスキーです。二分冊の長編の本で一通り超弦理論をマスターするには、かなりの年数を必要とします。私個人の感想ですが、ぺスキンは出版年数が古く、当時としては先端の教科書ですが、論文の切り抜きをまとめた感がして、本質的に重要なところを上手くまとめ切れてない無い感じがします。初学者には厳しいのではないかと言うのが感想です。

 細道さんの弦とブレーンです。私が読んだ超弦理論の専門書で、最も初学者に向いている教科書ではないかと思います。内容がコンパクトで比較的薄い参考書なので非常に読みやすいです。難しいポルチンスキーを読んだ後にこちらを読んでみたのですが、超弦理論が頭の中で整理され、得られるものが多かったと感じました。超弦理論初心者にお勧めの一冊です。

 太田さんの超弦理論の教科書です。個人的には、超対称性理論の部分がとても参考になりました。入門にしては少し難しく感じたので、授業等で学びつつ、加えて勉強すると良いと思われる一冊です。

まとめ

 こうして今まで勉強した本を書き出してみると、意外と沢山勉強しているものですね。しかしながら、これだけ勉強しても、物理学について大して理解していないと感じるのが現状です。学ぶとは本当に難しいものですね。

物理学入門

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